私の施術

ここで私がどのように施術するかをお話します。


まず大事にしている事は、常に患者主体でみるという事です。患者に極力不快感を与えないようにしています。例えば施術しにくいからといってむやみに服を脱がせるような事は致しません。服をまくれる範囲で施術をします。施術上、どうしても必要であれば、その旨を伝えて理解いただいた上で肌を出してもらっています。

 

鍼灸も極力痛みを加えないように施術しています。


用いる鍼は1寸(長さ30mm)0番(太さ0.14mm)または1寸1番(太さ0.16mm)という規格で、最も細い部類にあたる鍼です。そして深くは刺しません。深くても1cm程の刺入です。ですから絶対的に安全です。


それで効くのだろうかも疑問に思う人もいるかもしれませんが、皮膚反応を的確に捉えて施術を行うので、ほぼ身体に変化が出ます。


皮膚反応の変化度合いで鍼が効いているかどうかがわかるのです。ですから効かない時はあまり反応がないので「あまり変化がないかもしれません。」と伝えます。


しかし、本人に自覚がなくとも皮膚反応に変化があればほぼ間違いなく効いているので、その旨もお伝ます。体が変化しているのだから、効果がある可能性が高いのです。数日後に効果が出る場合もあります。

 

効果の実感の仕方ですが、軽い症状であれば施術直後に実感するものです。

慢性的なものや皮膚変化が乏しい場合はすぐには効果が現れません。施術を何度か行う事で体が変化していくので、その過程で効果を実感していきます。効き方は千差万別ですが、その人毎に手応えで大体はどのように効いていくかが分かるので、それに従って案内します。


慢性症状の人は1週間に1回か2週間に1回の頻度で施術を受けている人が多いです。

ある脳梗塞後遺症の患者さんは身体の重怠さが徐々に軽減しているので手応えを常に感じながら受けて下さっております。軽いものは治り次第終了です。

 

得意な症状は身体の痛み全般になります。「痛み」と一口にいっても原因は様々なので、その辺も探りながら施術をしていきます。東洋医学的な診方と現代医学的な診方を両方用いますが、東洋医学的な診方の方が「人間」を的確に捉えているような気がするので、こちらの診方を主としています。

 

他にも内臓疾患の施術も行います。

内臓疾患の依頼は少ないですが、痛みに伴って内臓疾患がある場合に施術をする事が多いです。生理痛や膀胱炎への施術頻度が多いです。

どちらも部位的に下腹部なので施術を頼みにくい人が多いかもしれないませんが、上記の通り服をまくれる範囲でしか施術をしません。あまり際どい部分を出さなくても効果的な施術はできます。生理痛の方は施術によって酷かった痛みも全く感じなくなるので不思議だといいます。膀胱炎の方は疲れがたまると出てくると言って癖になっている人が多いです。こういう人も月に一回、定期的に施術をする事で膀胱炎にならずに済むと喜んで下さっています。どちらもよっぽどひどくなければ月に一回程度の施術で十分です。

 

季節の変わり目にはよくギックリ腰の患者とよく会います。ギックリ腰は急性症状なので1日おきと間隔を狭くして施術する事が多いです。軽いと1回で治るものもあります。大体3回やれば良くなるようです。しかし慢性腰痛を抱えて身体がグチャグチャだとその限りではありません。

 

この「身体がグチャグチャ」という感覚ですが、身体の状態がおかしい人ほど皮膚や筋緊張の不調和がひどく、本当に「グチャグチャ」のように感じます。

これを鍼や灸で整えていくと違和感の度合いが減っていきます。そうすると綺麗に整っていくのです。見た目もスッキリして綺麗になります。

ですから私にとって施術はグチャグチャの粘土を綺麗な作品に作り上げていくような感覚なのです。綺麗になったら人の身体は治ります。施術は頭ではなく感覚で行うアートに近いのです。

 

ですから私にとって施術は患者に向けて行う自己表現であり、アートなのです。それは決して自分の美意識を押し付けるのではなく、患者本来の良さを引き出す、患者に合わせた自己表現です。この作業を通して私と患者、両者が共に氣を通わせ、綺麗な状態へと整っていきます。このやり取りにとても喜びを感じています。だから私は施術が楽しいです。患者と共に喜びの中で施術を行っています。