経穴・マルマ異常について

「経穴は肉体異常、マルマはエネルギー異常」とご紹介してきましたが、肉体異常、エネルギー異常の特徴についてはご紹介していませんでした。

ここでは施術における肉体異常・エネルギー異常の特徴についてご説明します。

経穴異常=肉体異常

経穴の異常は肉体的変化が顕著に出てきます。分かりやすいのがその部位の緊張であったり圧痛です。逆に軟弱になったり陥凹している所もありますが、分かりやすいです。このように肉体的変化との親和性が高いのが経穴の異常です。特徴としては

①鍼灸施術による身体変化が顕著に出ます。

②鍼灸施術だけで体が楽になります。

③体調不良の原因が肉体的な原因である事が多いです(運動による体の痛み、暴飲暴食による消化器の不調等)。そのため原因が分かりやすい事が多いです。

マルマ異常=エネルギー異常

マルマ異常は肉体的変化との結びつきが弱いです。触診していても「何となく気になる」といった形で触知する事が多いです。マルマ異常の範囲に経穴異常が含まれる事がありますが、その経穴に鍼灸施術を行っても効果がいまいちである事が多いです。経穴異常の方が見つけやすいので、経穴への処置で改善しない場合にマルマ異常と判断して施術を行う事が多いです。特徴としては

①鍼灸施術が効果的でないです。

②オイルマッサージにより異常反応や状態が改善します。

③施術により「心もスッキリした」という人が多いです。

④体調不良の原因が不明である事が多いです。精神的なものが関係している場合が多いです。

⑤非常に敏感な人、気疲れしやすい人、人間関係で消耗している人、ストレスを抱えている人(アーユルヴェーダでいう所のヴァータが乱れている人)に奏効しやすいです。

マルマは穴を開けてはいけない場所

なぜマルマは鍼灸が効果的でないかというと、マルマに穴を開ける事でエネルギー(プラーナ)が漏れ出てしまうためと言われています。そのためインドの伝統でも鍼灸ではなくオイルマッサージがマルマへの処置として行われています。

 

実際、非常にマルマとの親和性が高い患者さんを施術した際に、鍼のみの施術を終えると「エネルギーが抜けていっているように感じる。」と言われていました。その患者さんのお陰でマルマ施術を見出す事が出来たのですが、鍼灸施術のみの頃は予後が不安定で安定的な施術ができませんでした。しかしマルマへの処置が重要と気づき、オイルマッサージをメインに施術していく事で症状が徐々に改善していきました。セルフケア用のギーを渡す事で、更に状態が安定するようになりました。 

 

ちなみに鍼を打ったとしても、穴を埋める様にオイルを塗ると状態が安定するようです。しかしヴァータが乱れやすい患者さんににとっては鍼を打つ事自体が合っていないようで、徐々にその患者さんへは鍼を打たなくなっていきました。

 

しかし、一方でしっかり鍼を打たないと状態が改善しない患者さんもいます。そういう方は大体は肉体労働で負荷が来ている等、状態が分かりやすい人が多いです。ちなみに私が常用する経穴のポイントとマルマを比較してみると、ほとんどがマルマと重なっていません。このような施術上での発見から、経穴とマルマは別物で、それぞれの特徴に合わせて活用する事が最良ではないかと考えるに至ったのです。