未消化物(アーマ)について

食事において、質をこだわることも大切ですが、それが吸収できなくては何の意味もありません。食事量が適当であることで、食べ物の成分がしっかりと吸収され、意味ある食事となります。

昨今は飽食の時代で、食べすぎる傾向にあります。食べ過ぎは正に「万病の本」。

アーユルヴェーダでも、食べ過ぎによる害について詳しく説いていますので、ご紹介させて頂きます。


未消化物(アーマ)とは

アーユルヴェーダにおいて、消化不良によって生じる未消化物を「アーマ」といいます。アーマが蓄積するとドーシャが乱れるため、あらゆる病気の原因となります。

昨今では食べ物が充実しているために、知らず知らずのうちに食べ過ぎてしまっていることが多いです。場合によっては自分が食べ過ぎていることに全く気付いていないこともあります。

 

食べ過ぎの恐ろしさ

私自身、高校時代まで実家で育ち、毎日夜はお腹いっぱいになるまで食べていました。

そのような生活をずっと続けているうちに、高校3年の頃に、一週間の便秘と週末に猛烈な腹痛と共に大量の排便をするという状態になってしまいました。何か病気になったのかと思い、病院に行ってみたところ特に異常はなく、整腸剤を渡されただけでした。整腸剤を飲んでも良くならず、不安の日々を過ごしておりましたが、間もなく専門学校入学の為に一人暮らしが始まり、また同時に東洋医学も学び始めました。

そこでマクロビオティックの本に出会い、食べ過ぎは良くないということを初めて知りました。そこで早速食べ過ぎを控え、菜食中心に切り替えたところ、症状がすぐに治まってしまいました。

「なーんだ、単純に食べ過ぎだったのか。」と安堵しましたが、それにしても食べ過ぎだけでこれほどまでに苦しむとは思いませんでした。

たかが食べ過ぎ、ですが「されど食べ過ぎ」。食べ過ぎの恐ろしさを実感したのでした…。

 

アーマ停滞の特徴的な症状

アーマ停滞による特徴的な症状は以下になります。

食欲がない,便秘気味,便が水に沈む,舌苔がたまっている,関節・足裏・かかと等が外傷がないのに痛む,寝付きが悪い,長時間寝ても眠った気がしない,ガスの臭いや口臭がきつい,微熱がつづく,よくカゼをひく,いつも体がだるい

 

アーマ停滞を防ぐ食事

ここでアーマ停滞を防ぐ食事についてご紹介致します。

基本的に胃内容物は1/3個体,1/3液体,1/3空間であるべきと言われています。

常に空間を保つぐらいの余裕がなくては、消化は正常に行われないようです。

 

基本的に食事は規則的に取るべきですが,食欲がない時は何も食べないか少食にします。

 

保存されたものは新鮮なものに比べて栄養価が落ち,消化しにくいため、アーマを停滞させやすいです。また精神的にタマス(鈍性)をもたらします。

 

肉類はタマス(鈍性)が優勢なので,アーマが発生しやすいです。動物の死骸なので,老廃物が肉に蓄積しています。

 

アルコール類は肝臓に負担をかけ,生命力のエッセンスであるオージャス(活力素)を損ないます。オージャスを損なえば、消化不良を招きアーマ停滞につながります。またアルコールの激性により怒りや嫉妬が,鈍性によって恐怖や悲哀をあおるため,心の清明さを乱します。そのため精神修養者や勉学を本分とする者にとっては禁忌とされます。

 

喫煙は体内の微細な経路の閉塞を招き,トリドーシャの全バランスを乱します。微細な経路を塞ぎ、ドーシャを乱すわけですから、当然アーマ停滞を招きます。またこの状態が慢性的に定着するとバランスを取るため,さらにタバコを欲するようになります。

 

精白糖でできた菓子類は糖分以外にほとんど栄養がなく,消化のために大量のビタミンやミネラルを消費し、トリドーシャの全バランスを乱します。

 

牛乳と果物は,胃の中で他の食べ物と一緒になることでアーマを発生しやすいと言われます。

牛乳と果物はそれぞれ単独で食べることが望ましいようです。


 

アーマを除去する飲物ー白湯ー

様々な条件で発生し、病気の素となるアーマですが、アーユルヴェーダでは「白湯」によってアーマを除去できるとされています。


白湯はアーマを消化し,大小の詰まった経路を通してくれます。

白湯を少しずつ飲むことで体温は一時的に上昇し,各細胞に水分が供給されると共に,体内の熱(アグニ)が活性化されます。

ジャータラ(胃の)アグニ,ブータ(元素の)アグニ,ダートゥ(組織の)アグニが活性化されます。そのため消化力が高まり、細胞の活性化が起こります。


また白湯は消化に全く負担がかからないため,アーマが消化されやすいのも特徴です。


アーユルヴェーダの白湯はただのお湯ではなく、沸騰させた状態を10分ほど続けたお湯を飲みます。

これは水でカファを補い,熱でピッタを補い,沸騰による空気の動きでヴァータを補うという、トリ・ドーシャを補う3つの要素を盛り込むために、このような作り方になります。